NHK夜ドラ アイ’ムホーム(遙かなる家路) (2005.1.28 めるドラ110初出)

主人公が家路久(いえじひさし)と言う。何とも人をくった名前に相違ない。
しかし、これが心に染みるドラマであった。主役の時任三郎にも、その二つの家族に
もついつい目を離せなくなってしまった。物語はサスペンスタッチで始まる。

【あらすじ】
家路久(時任三郎)は5年前に単身赴任先の青森で火事に遭い、頭に怪我をして以降
の記憶が定かではない。自宅に戻ってみると、離婚した前妻の清原カオル(紺野美沙
子)の新しい家庭だったりして、カオルとの間の娘のスバル(星井七瀬)から注意さ
れ、現在の家庭に戻る事も度々。更に、かつての愛人で同じみやこ銀行総務部の同僚
である岡田杏子(佐藤仁美)のアパートにも、よく「帰って」しまうのだ。以前の家
路はやり手の銀行マンで出世街道をひた走っていたが、記憶喪失後の家路は閑職の立
場。今の妻ヨシコ(戸田菜穂)と幼い息子のヨシオの顔にはいつも仮面が付いている
ように見えて、家族という実感が持てない。
家路は無くした記憶を辿るが、旧友の山野辺(陣内孝則)からヨシコを奪って結婚し
ていたり、バリバリの銀行マンの頃は女遊びも派手でお金も借りっぱなしだったり、
更には事故のあった青森で親切にしてくれた老人は家路の為に事業に失敗していたり、
と散々な悪評判の男だった事が判る。だが、娘のスバルにとっては現父の健児(石田
靖)よりも、家路は自分を理解してくれる存在。折しも健児が浮気しているのを家路
が目撃。スバルも気付いており、それがカオルの家庭をギクシャクさせている。しか
し、カオルが胃ガンで倒れたのを期に健児とスバルは本音で語り合う。カオルは家路
を許したが、今の家族を大切にと家路に伝え本当の別れを迎える。
家路がカオル達の事に奔走し、ヨシコの父の会社への転職を拒否した事でヨシコとの
距離は広がるばかり。家路の帰るべき場所はヨシコとヨシオの所だったが、自宅から
ヨシコ達は出ていってしまった。二人の事は今でも仮面を付けているように見えたが、
それでも大切な家族だったのだと記憶を辿る家路。ヨシコは家路の元に戻ったが離婚
届は渡されたままだ。繰り返す日常生活に平安を見いだす家路に、自宅の火事が…。
家族を助ける為に飛び込んでいく家路。家路一家は間一髪助かった。
そして、家路はヨシコとヨシオと共に生きていく道を選び、新しい赴任先であるネパー
ルへと一家で旅立つ。

【スリーポイントチェック】
(1)時任三郎
しばらく彼を見ない時期が有った。『ふぞろいの林檎たち』シリーズが有名だが、
『Dr.コトー診療所』でのワイルドな漁師役に、戻ってきた時任三郎を意識した人
は多かったのではないか? そして趣を変えたこのサラリーマン役に、以前の彼の姿
がダブってくる。リゲインのイメージも強烈だったから。何だか、更にイイ男になっ
たなぁというのが感想です。彼は1981年に連ドラデビュー(舞台はその前に
デビュー)しているが、1997年『ふぞろいの林檎たち4』の後、2001年
『42歳の修学旅行』と間が開き、2003年の『Dr.コトー診療所』へと再び間
が開いている。私が好きだった連ドラは1987年の永島敏行と競演した『あきれた
刑事』だが、こういう軽さもある。そして、時任三郎の軽い役柄のドラマも見てみた
い。
(2)星井七瀬
娘のスバル役である。これが何とも時任三郎と似合っていた。3代目のなっちゃん
(サントリーのジュースのなっちゃん。1代目は田中麗奈)で、どうやらアイドル歌
手として音楽番組にも出演しているらしい。文化放送の「恋愛シュミレーション」と
いう深夜の30分番組では高校生の本音を語っている。スバルは原作では中学生だっ
たが、ドラマでは高校生になっている。
(3)石坂啓&浅野妙子
原作は漫画でビッグコミックオリジナルに掲載された。作者は石坂啓。そして、脚本
は浅野妙子。『ちょっと待って、神様』に続き、NHKでは漫画原作物を書いている。
最近では『大奥』が有名だが、家族を描いた作品もなかなか味わい深いものがある。
過去の作品はフジテレビの『神様、もう少しだけ』『ミセスシンデレラ』『ラブジェ
ネレーション』等。

この作品はNHK大阪で制作されており、撮影場所は主に大阪・神戸。

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夜ドラ(NHK) 時代劇が熱いぜ! (2004.12.17 めるドラ110初出)

新撰組!』が、とうとう終わりました。
最初は史実無視かも…どうなることか、と始まった『新撰組!』ですが、三谷幸喜さ
んの脚本にはズンズン引き込まれてしまい、芹沢暗殺で目を見張り、山南切腹でしば
し泣き、河合の死の後に響く飛脚の鈴の音に唸り、鳥羽伏見の戦いで源さんが死ぬと
判ってはいても「死なないでくれ」と祈り、糸井重里さんも『ほぼ日』で書いていま
したが、新撰組はどうすれば良かったんだろう、と考えてしまいました。たかだか
5~6年のことなのです、新撰組の存在していた期間というのは。鳥羽伏見の戦いの
半年後には江戸が東京となり、世の中は明治になっておりました。これだけの短い時
代に完結してしまう大河ドラマって、今まであったんでしょうか?
おまけに、テレ朝の『SmaSTATION』に新撰組の隊士達が出演しちゃうし!
それも最終回を前にして、最終回を見ようと語りかけるなんてアリ? 他局なのに!
更に、DVDが全編出るらしい。これも異例だが快挙。何と、あのジョン・健・ヌッ
ツォの歌う主題歌のカラオケまでUGAには有るそうで、ビックリ!
そして、やっぱり、最後の最期で近藤勇の諦念ともいうべき笑顔に殺ラレタ…。
『新撰組!』は近藤勇の死で終わったんですね。

で、皆さん、『SMAP×SMAP』で作・三谷幸喜と表示された、コント『局長』
をご覧になりましたか? うーん、爆笑なんですが…あまりにも成長した香取君のN
HKの近藤勇の残像が強すぎて、笑いも引きつりがちになってしまいました。『その
時歴史が動いた』では土方の最期までやってるし。

ここのところ、時代劇が面白い。私見ですが。
テレ朝でやっていた『忠臣蔵』は見る機会が無いままでしたが、NHKの『最後の忠
臣蔵』はついつい見てしまい、胸に迫ってくるものがありました。原作は『四十七人
の刺客』を書いた池宮彰一郎氏。忠臣蔵の完結編ともいうべき作品です。
第一話にして、あれよあれよという間に吉良邸討ち入りが終わり、討ち入りの生き証
人として生き残らざるを得なかった47番目の赤穂浪士、寺坂吉右衛門(上川隆也)
の後日談が始まったのでした。そして、寺坂の友人であり許嫁の兄であり大石の密命
を受けた瀬尾孫左衛門(香川照之)の十数年に及ぶ、忍従の生活の痕跡。孫左衛門の
育てた、大石と可留の忘れ形見の可音の嫁入り道中の場面は、一幅の絵であり、吉右
衛門と孫左衛門の思いが報われた瞬間でもある。そして、使命感の終結。
現代なら絶対にありえないし出来そうもない。しかし、様々に何重にも及ぶカセこそ
時代劇。だからこそ、思いを貫く姿は清々しくもあり、哀切ともいえる。
金曜時代劇の前作『慶次郎縁側日記』も切なさを含んでいましたが、時代劇は人生の
彩りが現代劇よりもクッキリとしているのかもしれません。

ところで、『新撰組!』って、舞台俳優さんが大挙して出演してました。三谷さんの
舞台をはじめ、なかなかチケットを取れない舞台も多いのでしょうね。出来れば、全
員の舞台姿を拝見したいもんですが、それは大変な事でしょうね。
私が観たことあるのは、夢の遊民社から初期の野田マップでの野田秀樹さん。白井晃
さんは、遊◎機械全自動シアター作品で。小日向文世さんはオンシアター自由劇場の
作品で。伊原剛志さんは『真夜中のパーティ』『香港ラプソディ』など。
そして、平助役の中村勘太郎さんの『盛綱陣屋』での初お目見え(4才)と、捨助役
の中村獅童さんがやはり子役で出演した『菅原伝授手習鑑(寺子屋)』くらいです。
勘太郎さんは実は2才の時に舞台上で父方の祖父勘三郎に手を引かれ、母方の祖父芝
翫に烏帽子を渡しているんですが、芝居らしい所作をしたのは4才の時です。
うーん、恐るべし歳月!

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夜ドラ(NHK) 『結婚のカタチ』~悪女についての考察~ (2004.11.19 めるドラ110初出)

藤原紀香という女優をどういう役柄で使っていくか、それを考えるのは意外と難しい。
そんな事を某プロデューサーが語っていたのを聞いたことがある。
例えば、ある役柄を演ずる女優の候補を選ぶ場合、藤原紀香を挙げるような時は米倉
涼子などが同様に推敲の対象となりそうだと思う。二人は『愛と青春の宝塚』で競演
しているが、米倉は『武蔵 MUSASHI』のお通役や可愛い魔女役を経て『黒革
の手帳』では堂々たる悪女を演じ、急速に役者として広がっている。ところが、藤原
紀香はここ最近ドラマではお目にかかっていなかった。そして、悪女があまり似合い
そうもない(違和感があるとでも言うか)。

悪女も演じられるというのは大女優に至る条件なんじゃないだろうか? 
鈴木京香・黒木瞳・松坂慶子・桃井かおり・松雪泰子などは悪女も違和感無く出来る。
浅野ゆう子・浅野温子あたりも出来る。私は鈴木保奈美が素敵な悪女役に育っていき
そうな予感があったのだけれど、引退してしまい残念。大竹しのぶは悪女どころか別
格という感じ(何でも来いという感じ)。悪女って、悪人とはまた違う。カッコいい
女でないといけない。ある意味、外側はどんなに色っぽくても中身は男みたい、とか。
たぶん、悪女っていうのは情に流されないタイプの女の事かも。ハードボイルドが出
来るって事でしょうか。

藤原紀香は情にほだされてしまいそうな感じがする。ドロドロの愛情を描いた『昔の
男』はそれなりに良かったけれど(内舘さんの脚本も良かったけど)、藤原紀香は顔
がやつれて見えると彼女の良さが見えなくなる。やはり、スタァっぽいのか。
そして今回の『結婚のカタチ』なのだが……。

『結婚のカタチ』*************
あらすじ
事実婚の夫婦、相馬有里(藤原紀香)と中原大介(葛山信吾)は、結婚3年目の微妙
な時期にマンションの水漏れが原因で工事期間中は別居する事になる。広告デザイ
ナーで自分の会社を経営する大介に、有里の夫とは知らず有里の妹の佐奈(推名法子)
の親友の高見沢恭子(紺野まひる)が急接近する。有里は大介に近づく女の影が恭子
だとは知らず、請われるまま恭子に恋愛や結婚についてアドバイスする。恭子の方は
途中から大介の妻が有里だと知るが、二人が事実婚であることに目を付け、ことごと
く有里と大介を遠ざける細工をほどこす。それは、恭子の母(夏木マリ)の経営する
美容産業界大手の「サロン・ド・高見沢」の仕事を介した大がかりなものだった。恭
子は母と確執があり、自分を一人前として扱って貰う賭でもあった。有里が通訳とし
て働く会社と大介の会社を巻き込み、恭子が大介の子を妊娠した事で破綻寸前にまで
追い込む結果となる。結局、恭子は妊娠していなかったのだが、母から後継者として
の力不足を痛罵されてダメージを受け、ショックから昏睡状態に陥る。驚いた恭子の
母は有里と大介を許さず、このまま離婚かと思われた。だが、有里の縁の切れていた
父の沢井(竜雷太)が以前に恭子の母を助けたことと、有里や有里の母和子(市毛良
枝)の温かな思いやりが、恭子の深い反省の念を生み恭子母子の関係の修復へと向か
う。一旦は別れようとした有里と大介だったが、再び新しく夫婦として始まる。

スリーポイントチェック
(1)有里の親友の大庭薫(鈴木砂羽)と、その夫で大介の親友の大庭正和(田中哲
司)の夫婦がイイ味出しているのだが、しかし、夫婦同士が親友同士っていうのも何
だかご都合主義でないかい? まあ、現実にもいるとは思うが、有里と薫は仕事場ま
で一緒とは。佐奈の親友が恭子というのも、親友関係多すぎ!
(2)このドラマには多くの夫婦も登場する。有里と大介、大庭夫妻、佐奈と夫の俊
一(井上チャル)、有里と佐奈の別れた両親である沢井と和子。それぞれ違うタイプ
の夫婦のカタチをじっくり見せてもくれる。結婚も離婚も、たかが紙一枚、されど紙
一枚。夫婦は家族の始まりであった。
(3)恭子役の紺野まひるは朝ドラ『てるてる家族』では爽やかな長女役だったが、
将来の悪女役女優(大女優)として期待したい。
**********************

さて、『結婚のカタチ』における藤原紀香だが、悪くはない。それなりに役柄に合っ
ている。葛山信吾とも夫婦役が合ってる気がする。
しかし、この役を稲森いずみが演じても違和感ないような気がするのは、私だけ?

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