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ドラマと音楽 その26 所謂ひとつのカタルシスを得る (2005.12.16 めるドラ110初出)

たとえば、ドラマには2種類ある。
結末の解らないドラマと、結末の解っているドラマ。
大抵の連ドラや単発ドラマは結末が最初から解っていることは稀です。だが、実在
の人物をモデルにしたドラマの場合、結末を実際と全く変えてしまうことはないで
しょう。歴史上の人物であれば、なおさら。九郎判官義経ともなれば、もはや伝説
でもあり…。解りきっているのに何故見るのか、それは登場人物の感情の追体験を
するということに意味があるのでしょう。何物かを昇華・浄化させるということ。
義経』の音楽には、印象的なオーケストラのフレーズがあります。ジャン!と響
くその音は、場面転換・心の動き・クライマックス、様々に振り向かせる音でした。
それが、「安宅の関」の回の時は更に印象的で、鈴の音がオーケストラに取って代
わり、最後までリンと響いておりました。能楽かと思いきや、能の楽器には鈴は見
当たらず、どうやら神楽で使われる神楽鈴のようです。そういえば、藤原秀衡の倒
れる場面で演じられていたのは、神楽のようでした。
義経』の音楽担当は岩代太郎さんですが、ドラマ終了後の「大河紀行」では4人
のソリストが3ヶ月交代で演奏しており、そのひとりがピアノの松下奈緒さん(女
優「恋に落ちたら」等)でした。

歴史上の人物ではなくとも、実在した普通の人の人生の結末は、ドラマがそうそう
変えられもしません。『1リットルの涙』は木藤亜矢さんの実話を、池内亜矢名義
に変えて脚色してますが、さすがに涙なくしては見られないドラマになっています。
そして、その主題歌ソウル出身のの歌う「Only Human」は、ドラマの
内容にピタリと寄り添っています。“今は前へ進め”という言葉の力の大きさに、
いつもドラマの最後の余韻をせつなく思っています。
もちろん、レミオロメンの「粉雪」も素敵なんですが。

義経より遙かに現代で、普通の人より有名な女性達のドラマがありました。
瀬戸内寂聴 出家とは生きながら死ぬこと
越路吹雪 愛の生涯~この命燃えつきるまで私は歌う
杉村春子 悪女の一生~芝居と結婚した女優・杉村春子の生涯
普通の人では味わえない、濃密な人生を生きることは、感情とか精神の振り幅が大
きく揺れていて、それこそドラマチック。一歩踏み出す勇気と才能と。
この女達は言ってみれば、あざとい。それは野心的とも言えるもので、しかし、こ
の現代において野心的でない女性は魅力的とは言わないかも。身体の芯からの生命
力とでもいうべき野心は、男だけで満たされるものではない女の生き方を、魅せて
くれました。三作とも力作で素敵でしたが、私は瀬戸内寂聴さんを演じた宮沢りえ
さんの回が一番好きだったかも。阿部寛さんの今年の演技は広がりがありました。
主題歌はシリーズを通して、中島みゆきさんの「命のリレー」。2004年1月の
夜会で披露された楽曲だそうです。

天海祐希さん演ずる越路吹雪さんの歌を聴きながら、思い出したことがあります。
学生時代に友人と入った居酒屋のTVで、亡くなったばかりの越路さんの追悼番組
を流していました。たまたま、同じ大学の男子学生が二人ほど客で、他には客らし
い客もおらず、二人組は流れてくる歌を一緒に歌っていました。友人は二人と知り
合いで「ほら、仮面ライダーでデビューした村上君だよ」と、もう一人と村上君を
紹介してくれたのだけれど、私は自分の失恋で頭が一杯で、二人組は「サントワマ
ミー
」だったか、歌ってくれたようでした。みんな、酔っぱらってたけど。
村上君は、東北大医学部を目指して何浪もした挙げ句に東京で私立の法学部に入っ
たので、思うところあったのでしょう。その頃は、普通の大学生よりはちょっと年
上で格好いい程度の人でした。学部も違うし、それきり顔を合わせる機会はありま
せんでしたが。今では、その村上君も渋い二枚目の大きな役者になりました。
彼の名は村上弘明。
テレビ東京のお正月ドラマ『天下騒乱』では実伝である荒木又右衛門を演じます。
見事な敵討ちと死に際を見せて欲しいものです。

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